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弁天・穴弁天 甘茶

 聖なる大河、水の女神である弁天様は、次第に芸術・学問などの知を司る女神と見做されるようになりました。

 二本腕の像は琵琶を抱え、バチを持って奏する音楽神の形をとっていて、妙音天美音天とも呼ばれています。
「妙音」「美音」とは、なんとも素敵な・・・

 水も音楽も流れるもの 流れ・動けば、もの皆、音が奏でられます。

 武蔵野三大湧水と呼ばれる石神井川水源の三宝寺池、善福寺川水源の善福寺池、神田川水源の井の頭池には、いずれも弁天社(厳島神社)、善福寺弁財天、井の頭弁財天が置かれています。

 湧き水に弦の響き――妙音が相和した様を想像すると、独特な場の雰囲気が感じられます。

 中世以降、弁才天は宇賀神(出自不明の蛇神)と習合して、老人の頭をもつ白い蛇の宇賀神をいただく姿の、宇賀弁才天(宇賀神将・宇賀神王とも言われる)が広く信仰されるようになりました。
 ここ三宝寺池では、池に張り出して祀られる弁天さまとは別に、南の霊窟に宇賀神社があり、年に一度、御開帳の日にお参りすることができます。
 入り口はコンクリートで固めてあったので、入った途端響きが深くなり、進むと手掘りの洞窟そのままに天井は低くなって、しゃがんでお参りすることになります。
 崩落の危険があるので、ご神体が奉られている奥には入れませんが、それだけに有り難い感じが増しています。参拝者が口々に祝詞を唱え、洞窟に余韻を残していたのが印象的でした。

 一方、4月8日のこの日は、釈迦の誕生日を祝う仏生会(花祭り)の日でもあり、お寺では参拝者が釈迦像に柄杓で甘茶を注ぎ、ふるまわれる甘茶を飲んで無病息災を祈ります。
 かつて参詣人は甘茶を竹筒等に入れて持ち帰り、この甘茶で墨をすって書いた「虫」の一字、または「千早振る卯月八日は吉日よ 神下げ虫を成敗ぞする」と書いた紙を便所に貼ると、ウジが生じないと言われ、あるいは、門口にさかさまに貼れば、蛇やムカデ・害虫を退治できるとされたといいます。
 明治頃までは竹筒を下げてこの甘茶をもらいに来る子ども達で賑わい、また門前には竹筒を売る店がずらりと並んだ、とのこと。
 この甘茶、ほうじ茶のようなものにお砂糖でも加えて甘くしたものかと思っていましたが、アジサイ属ヤマアジサイの変種「小甘茶」の葉(そのままでは苦いだけ)を発酵させて茶葉にしたものを煮出したものでした!出展:http://hana-zukan.net/
 発酵作用により砂糖の100倍以上の甘味に変化するとは!しかも、胃や腸の機能を改善し、血行を良くしたり抗アレルギー作用もあり、この時期の花粉症にも効能あるようです。
  なんと、理にかなった知恵の産物。
 帰りに三宝寺に伺って、甘茶を頂いてきました。(写真は宮本よしかさん撮影の甘茶 茶色く煮出されてますね)
 ちょっと苦味もあり、まさにからだに効きそうなお味。
 花祭りはこれからGWにかけて行うお寺もあるようですので、お参りして味わってみてはいかがでしょうか。